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歪みのリボーン
入口の暗い穴




下校時間が過ぎて、生徒が全く居ない学校で、持田は兎耳京子を追いかけていた。


(にしても京子こんな時間に何してんだ?)

京子は割と真面目な女の子だ。

学校の決まりは守る。

下校時間が過ぎているのに帰らないなど普段の京子は絶対しない。

少なくとも持田の知っている京子はそうだった。

しかも京子は、もう何度も声を掛けているのに、持田に振り返ることも、返事もし無い。

「先生も居ねぇ」


下校時間と言っても、それは生徒のものであり、教師には無い。


持田の担任など、夜中の12時過ぎまで学校に居る時があると言っていた。


目の前の魅惑に気を取られて気付かなかったが、校内に全く人気が無いのはおかしい。




持田が今の状況を不信に思い出した時、くるりと京子が振り返った。



ニッコリ微笑む瞳と目が交わり、京子の可愛いさに思わず持田は顔を赤くした。


「京子「アリス…
私急がなくちゃいけないの…
早く私を捕まえてね」……へ?」


持田が話し掛けようとしたのを遮って言った京子の言葉は意味不明だった。


持田は頭を傾げる。


「うふふふ♪
急がなくっちゃ」


京子はそう言って、また持田に背を向け走り出した。



持田は考えた。



人気の無い学校


いつもと雰囲気の違う京子


兎耳と尻尾を着けて


私を捕まえてと言う



俺を誘っている!?!


うおおおお!!

マジで?!

男のロマン!
夕方の人気の無い学校で、兎耳美女と淫行?!


男のロマンかどうかは分からないが、持田の頭では、若い青少年の馬鹿げた妄想程度しか考えられ無かった。


「あはは〜
待てー京子〜
捕まえちゃうぞぉ」

持田は先程の不信感などポロリと忘れて、デレデレしながら京子を追いかけた。


今持田の脳内では、海の砂浜で追いかけっこをする恋人が浮かんでいた。


「ほーら捕まえて…
あり?」

そんな浮かれている持田の視界から一瞬で京子の姿が消えた。


「え?あれ?
京子何処にっ」

驚いた持田が足を一歩踏み出すと、そこに地面は無かった。

廊下にポッカリ開いた穴があったのだ。

持田の身体が傾いた。

視界が回る。

「え?あ、わ、わあああああああっ!!」



暗い穴の奥から、京子の笑う声が聞こえた。





落ちる落ちる

暗い穴へ

それは世界の穴

それは次元の穴

恐れることは何も無い

闇は世界の始まりだから

闇は貴方の始まりだから

暗い穴へ飛び込んで

さあ、ようこそ不思議の国へ!!



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