歪みのリボーン
冷たいスープとボス
「はい、骸アーン」
「…………」
「アーン」
「………あのですね、もういい歳の大人が小首を傾げてもキモいだけなんですよ」
朝、爽やかな朝食。
だが、骸はチャイルドチェアーに座ってぐったりしていた。
それは、目の前でまるで赤ちゃんに接するかの様な態度のマフィアのドンのせいでもあるし、今朝の寝起きの悪さのせいでもあった。
ちなみに骸は今、男の子様オーバーオールのランボのお古を着ている。
雲雀が一通り満足するまで写真を撮られ、その後獄寺が用意していたそれに着替えたのだ。
「そんなこと言わずに、アーン」
綱吉はニコニコしながらなおも骸にスープが掬われたスプーンを差し出す。
中身はヴィシソワーズ。
骸はじとっとそれを見つめる。
小さい口をはく…と開いた。
綱吉の瞳が輝く。
その嬉しそうな顔にまた骸はゲンナリとする。
綱吉の態様について行けなくて骸にはスープがただの冷たい氷の様に感じた。
「十代目、本日の御予定ですが…」
先に食事を済ましていた獄寺が、綱吉に声を掛ける。
その時ちょっぴりと嫉妬の睨みを骸は向けられた。
(別に望んでこうなった訳では無いんですが、むしろ変わって欲しいくらいです)
綱吉は眉根を下げる。
「隼人、食事中は仕事の話しはしないでって言ったじゃないか」
もちろん忠犬十代目馬鹿な獄寺は直ぐに謝るのだろうと思った骸だが、違った。
「ですが十代目先日その様にしたら予定変更があったのにも関わらずちゃんと覚えていなくて会議に遅れたじゃ無いですか」
獄寺は一息で全て言い切った。
どうやら長い月日で彼は色々と苦労したらしい。
綱吉は苦笑いを零す。
「あ、あはは。
だってあれは別じゃない?
変更があった時は別でしょう?」
「何がどう別かは分かりませんが、相手マフィアへの謝罪で走り回されるのはもうごめんですからしっかり朝食で予定の確認をして下さい」
「骸〜おいしい〜?」
「僕を逃げ道にしないで下さい」
「………」
「では本日の御予定ですが、まず…」
獄寺が今日の予定を読み上げる声と、食器の音だけが室内に広がった。
骸は朝食のパンを千切り、ふと窓から空を見つめた。
天気は快晴。
散歩日よりだなと骸は思った。
「ランボ君、君今日は予定は?」
「え、俺ですか?」
骸は食事中ずっとチラチラこちらを見て来ていたランボに可愛らしく微笑んで話し掛けた。
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