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歪みのリボーン
眼鏡を売買す




入江 正一
15歳の春、売られました。





眼鏡を売買す






母さんの爆弾発言に頭を回していたところ、父さんが帰って来た。

僕は父さんを責め立てようと口を開こうとするが出来なかった。

父さんの後ろにはカンフー映画に出て来る様なおかっぱでしっかりとした肉付きの男の人と、まるでサイヤ人みたいな上に立ち上がった真っ白な髪の男の人がいたからだ。


まさか…
この人たちが?


「正一、お母さんから話しは聞いたかい?
この人がお前を買った白蘭さんだ」

父さん、本当に僕を売っちゃったんだね。

ショックで何も言えない僕を置いて事態は急速に周り続ける。

「初めまして。
僕の名前は白蘭です。
急で悪いんですけれど、今日息子さんを引き取ることにしました」

狐みたいな顔でニコニコ笑う男に僕はただぼーっとしていた。

横では姉さんがイケ面がどうのとはしゃぐ声がする。

「あら、それは急ね。
今荷造りさせますね」

母さんが立ち上がろうとしてそれを白蘭が止める。

「大丈夫ですお母さん。
生活用品は全てこちらで揃えていますから」

「まあ、それはありがとうございます!」

掴まれた手に母さん頬を染める。父さんが僕の肩を掴んで言い聞かせるように話す。

「それじゃあ正一、色々驚いていると思うけど、大丈夫だから。
白蘭さんはいい人だからね…ちょっと特殊なところはあるけど若いお前なら大丈夫、安心して行きなさい。」


父さん、二度も大丈夫って言うとむしろ心配…

しかも特殊ってなんだよ?

そう思って父さんを睨もうとして視界が揺れた。

「失礼します」

「うやっ?!」

白蘭さんの後ろについていた男の人がなんと僕を抱き上げていた。

しかも横抱きと言うやつだ。

ひょうしにずれた眼鏡を慌てて直す。

「きゃー羨ましい!」

なんなら変わるよ姉さん!!
むしろ変わって姉さん!!


「ではお金はこの小切手で、息子さんは頂いて行きます」

白蘭さんの手には10000000の小切手。

おい父さん、これ絶対生活費以外でも金借りただろ!!

流石に母さんも姉さんも目を見開いている。

「じゃっ、行こっか」

楽しそうな白蘭さんの声で僕ははっとする。

僕はこのままこの人に買い取られる。

「か、母さんっ!
姉さん!!父さん!」

必死に男の人の腕の中でもがきながら叫ぶが、帰ってきたのは別れの言葉だった。

「元気でな、たまに会いに行くから」

「白蘭さんに迷惑掛けないようにね〜」

「じゃあね〜」

な、なんて酷いっ!

姉さんに限ってはこっち見て無いじゃん!

小切手釘付けで全く僕なんて眼中に無い!


バタンと音を立てて、僕の家のドアが閉まる。

とうとう家から出てしまった。

「う、うぅ〜
涙出て来たぁぁ!」

「どうぞ」

「へ?」

僕を抱き上げている男の人が、片手で僕を持ってハンカチを出してくれた。

「ど、どうも。
あ、えと…」

「幻騎士とお呼び下さい。
入江様」

「様?!」

「あっ、ちょっと幻騎士ぃ?
正ちゃんにちょっかい出さないでよ〜」

「へ?!」

「申し訳御座いません白蘭様」

「………」

一体何者なんだこの二人は…。

かたやとても丁寧に扱ってくれて、かたや突然馴々しくなった二人に僕はただ動揺していた。



う、またお腹が…



本当これからどうなるんだ僕?!



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あきゅろす。
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