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歪みのリボーン
眼鏡、暗澹す



僕の家族は結構酷い人たちだった。

「ちょっと、漫画は買って来たの?」

「そのぐらい自分で買って来なよ」

「はあ?!
買って来て無いの?
この馬鹿正っ」

「って」

女王様気取りの暴力姉さん。

「あ、正ちゃん。
そこの荷物取ってくれる?」

「えー今ゲームから手が放せない」

「男の子でしょー
力仕事は正ちゃんがやってちょうだいな」

「あっ!
電源んんん!?!」

何かと僕が男だからと言って力仕事を押しつけて来る母。


そんな厳しい女家族の中で、父だけは優しくて楽しい人だった。


女性人にこき使われる僕に労いで頭を撫でてくれて、自作のロボットをくれたりした。

僕が機械に強くなったのは一重に父のおかげだ。

そう…

だから…

家族での僕の味方は父だと思っていた。

父だけは僕に命令してこない…
むしろ父も母には使われていて、よき同士だと思っていた。

思っていたのだ、今日までは。


「父さんが…

僕を、

売った…?」


思わず掛けていた眼鏡がズルリとずれ落ちた。







眼鏡、暗澹す。






「そうなのよ〜
実はね〜父さんの会社随分前に倒産してたらしいの。
でも私たちは知らず、普通に生活してたでしょ?
あれらの生活費お父さん借金してたんだって」

ぺらぺらと話す母さんは、とてもショッキングな話しをまるで夕飯のメニューを話す時みたいに平然と続ける。

僕は鈍器で頭を殴られた様な感覚で目がぐるぐる回っていると言うのになんて母だ。

「それで僕は父さんに借金をかたに売られたと?」

お願いだ!
違うと言ってくれ!

そう願うが、母が自分の望んだ答えを出したことはこの15年間一度も無い。

「簡単に説明するとそゆことね」

ニッコリ微笑みそう返す母に僕は顔に青筋を立てる。

我が子が売られると言うのに何笑ってんだこの母は!!

「私も詳しいことは分からないのだけど、正ちゃんを買って頂く相手はお父さんの友人らしいから心配は無いって」

買って頂くって…

アンタ…

「じゃっ、じゃあ学校とかどうするんだよ!
ミルフィオーレ学園折角入学決まったのに!」

そうだ、僕は今年から高校…ミルフィオーレ学園に入学することになっていた。

ミルフィオーレ学園は県立のエリート校だ。

僕は必死に勉強して入ったと言うのに、まさかこんなことになるなんて…

「それがその友人の人があんたの学費も生活費も払ってくれるんですって」

ソファーでゆったりと寛いでいた姉が説明してくる。

それを見て僕は気付く。

「あっ、そうだよ姉さんは?!
僕なんかよりも女の姉さんの方がその友人もいいんじゃない?!」

そう言った次の瞬間ソファーから姉さんが消えて頭に打撃が走った。

「何ですって?!
このか弱い少女をあんたは売ろうって言うの!!」

か弱いだって?!
今僕を力強く殴った奴が何を言うんだ!!

と、言いたいが、まだ強く握られている拳を見てそれを喉元でとどめる。

男なのに僕の方がよっぽどか弱い。

「それがね〜
その友人さん男が欲しかったんですって」

「な、なんで」

「さあ」

さ、さあって…

まさか肉体労働とかしいられるんじゃ無いだろうな…


まさか売られるなんて…

僕の人生これからどうなるんだぁぁぁ!!


うっ、お腹痛くなってきた…

僕の未来に光は…
あるか?






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