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歪みのリボーン
一人で出来るもん




僕が、一年間子供…



骸は綱吉の話しを聞きながら、自分の小さくなった手を見つめていた。

先程まで冷たかった手は、山本の入れた蜂蜜ミルクのおかげで身体共に温かくなっている。


「…と、言うことなんだ。
身体が小さくなった色々と不便かも知れないけど、そん時は俺を頼ってくれて構わないから」

優しい笑顔で見下ろして来る綱吉に骸はクフフと独特の笑い声を上げた。

「姿が小さくなっても僕は大丈夫ですよ。
この僕が、君の手など借りる訳ないでしょう」

骸のそれは何処か突き放す様な口振りだった。

「てめーっ10代目が折角気に掛けてくださったるのにその態度はなんだ!」

自称右腕が黙って居るはずは無く、今まで綱吉の後ろに居た獄寺が前に出て怒鳴る。

「ボンゴレのドンが、一々小さな子供の世話に来るなどおかしな話しですね。
そこまでボンゴレとは暇で惰弱な組織だったのですか?」

「ってめぇっ!」

獄寺が拳を上げる。

ぱしりと拳を掴む手がその横から伸びた。

「骸の意見は間違って居ないと思うよ。
綱吉はファミリーの会議や取り引き、その他諸々の仕事で忙しいんだから骸の面倒なんて見れないでしょ?」

なんと骸を庇ったのは雲雀だった。

「雲雀…恭弥。
その通りです。
ですから僕は一人でだい」

まさかの助けに骸も驚いたが、雲雀の話しに頷いき一人で大丈夫と言おうとした時

「だから僕が骸の面倒見る」

雲雀に最後の言葉を遮られた。

「はっ?!」

何言ってんだこいつ、と骸は雲雀を見る。

そして固まる。

雲雀も骸を見て居たのでガッチリ目があってしまった。

「なんですかそのキラキラと輝いたまるで新しい玩具を見つけた子供の様な目はぁぁ!」

骸は悲鳴の様な突っ込みを叫んだ。

「よくわかったね」

「あの…雲雀さん、貴方も俺と同じ位忙しいでしょ?」

満足げに笑う雲雀に綱吉が言う。

「なぁーツナ、俺も骸のおもりしてぇな」

「ボ、ボンゴレ!
俺も六道氏と遊びたいです!!」

「10代目の手を煩わすならこの俺が面倒みてやってもいいぜ!」

「皆見るならやっぱり俺も骸を手助けしたいよ!」


ぎゃあぎゃあと騒ぐボンゴレ一同に骸は頭が痛くなった。

そして空気を思い切り吸い込んだ。


「僕は一人で大丈夫だと言ってるんですーっ!!」

少年特有の高い声が部屋に響いた。

辺りが静まりかえる。


「ぜぇ、はあ…
全く、いい大人が何を言い合ってるんですか。
結構だと言ってるんです。
僕中身は二十歳を過ぎた青年ですよ?
幾ら姿が小さくなろうとも平気です」

骸はクハ〜と溜め息をついて肩を落として首を横に振った。


「で、誰が骸の面倒見る?」

しばらくそんな骸に和んでから綱吉が会話を元に戻した。

「ここは公平に一週間ずつ回して行こうぜツナ」

「ああいいですね山本氏!!」

「そうだね」

「ちょっと、別に僕一人で大丈夫だよ骸は」

「てめー一人じゃ心配なんだよ」

「どう言う意味?」

「そう言う意味だよ」

獄寺と雲雀が喧嘩を始めそうになったところで綱吉が机を叩く。
耳が震える程大きな音が響いた。

「とにかく、決定ね。
ボス命令だから。
骸もいいよね?」

「貴方たち…
僕の意見は断固としてスルーですか」

「い・い・よ・ね?」

「……はい」


随分とボスらしくなったツナに骸はコクンと頷いた。


((っっ可愛い!))


〜おまけ〜


「やだなぁ俺変な趣味に走っちゃいそ」

「おいおいツナ、秩序に背く行為は駄目だぞ」

「やだなぁ〜
そんなことしないよ」

「並盛の秩序はこの僕だよ。
だから僕は何をヤってもっ」

「此所(ボンゴレ)の秩序は俺です」

「綱吉…やるようになったじゃ無いか」

「お陰様で」

「でも残念だったね。
雲の守護者は孤高の浮雲、何ものにも囚われることは無いのさ」

「は?
あんだけ守護者なんてどうでもいいとか言ってたくせに何いってんですか?
そのフレーズ気に入ってるでしょ雲雀さん」

「はいはいお二人共、六道氏ももう休みたいでしょうから。
喧嘩なら余所でやって下さ〜い」

「五月蠅い」

「ランボは黙ってて」

「ぐぴゃっ」

「じゅ、10代目、本当にそろそろ時間も時間ですし」

「そうだぞ二人、共夜中に近所迷惑だぜ」

「あっ、もう十一時過ぎてたんだ。
雲雀さんそろそろ」

「しょうがないね、勝負は次に持ち越しだよ綱吉」

「はい」

「じゃあね骸」

「おやすみな〜」

「あばよ」

「じゃあね骸、ちゃんと布団を掛けて寝るんだよ」


バタン、部屋のドアが閉まり。
ガヤガヤと騒ぐ声がどんどんと遠ざかって行った。


「全く、大丈夫だと言って居るのに…
皆外見に囚われ過ぎですよ」

静かになった部屋で、ポツンと骸は呟いた。

「それは違いますよ」

もう誰も居ないと思って居たのに声がかえって来て骸は肩を揺らした。

「なっ、君、さっき帰ったんじゃ」

骸が指差した先には頭を擦るランボが居た。

「え、見てませんでした?
俺、ボンゴレと雲雀氏に殴られて床に倒れてたんですけど」

骸はそう言えば確かに悲鳴の様な声が上がった様なと思った。


「六道氏、貴方が不安そうだったから皆心配したんですよ」

「なっ!!
僕は不安がってなど居ませんよ」

「突然外に出された挙句、姿が子供になってしまったんです。
動揺して当然ですよね」

そう言ってランボが骸の頭に手を乗せた。

骸の身体がぴくんと揺れた。

「なっ」

「頼っていいですからね。
困った時はお互い様です。
マフィアとかボスとか関係無いんですよ」

何処か悲しげに微笑んだランボの手を、払いのけようと伸ばした腕を骸は布団の中に戻した。


「………年下相手に僕としたことが少々熱くなってしまいました。
分かりましたよ、どうせもう決まったことです。
有り得ませんが、困ったことがあったら頼みますよ」

少し頬を赤くして言う骸にランボは嬉しそうな笑顔を浮かべた。

「はいっ!
じゃあ六道氏、俺も自分の部屋に戻りますね。
おやすみなさい!」

「おやすみ」


今度こそ一人になった部屋で、骸は困った様に眉をハの字に下げた。


「あっさりバレてしまうなんて僕もまだまだですね……」


頭に残る温もりが冷める前に眠ろうと、骸は瞳を閉じた。





おまけって言っといて長い




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あきゅろす。
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