歪みのリボーン
副担
始業式が終わり、各自生徒たちはクラスに戻って行く。
体育館の出口は生徒がぎゅうぎゅう詰めになって、先生や生徒会がスムーズに出て行ける様に生徒たちに指示していた。
「これだけの人数だと、朝礼や行事は大変ですね」
それを見たバジルは、はあーと何処か感心していた。
「この学園は一学年にクラスが10を超えてるからな」
体育祭の時なんて最悪だぞっとガンマは笑って言う。
ガンマは第三校舎の副担である。
「拙者も手伝った方がいいでしょうか?」
「いーんじゃねぇか?
あんだけいれば俺らいらんだろ。
むしろ人口密度あれ以上増やしたら出口壊れる」
「はい、わかりました」
ガンマの嫌そうな顔を見てバジルはくすくすと笑った。
「………」
それを見たガンマはしばしバジルを見つめる。
「なんですか?」
「いや、お前本当に生徒たちが言う様に可愛いな」
ぽんっとバジルの頭に手を乗せる。
「そんな…
拙者は男ですよ。
そう言うことは可愛い女の子に言って上げて下さい」
笑顔だが、確実な苦笑いのバジルにガンマは悪い、悪いと謝った。
「そんな、言われ慣れてるので結構ですよ」
そんなガンマに慌てる様にバジルは言ったが、言われ慣れてると言うのも凄いなとガンマは思った。
「先生、終わりました」
背の小さい黒髪の女の子がガンマに話し掛けて来た。
生徒会メンバーで、今迄仕事をしていた様だ。
「あ、ああ。
お疲れさん」
そう言ってその子の頭を撫でようとしたガンマの手をその子が払った。
ガンマが驚いた顔をして女の子を見る。
「どうした、ユニ?」
「…………」
顔を覗こうとしたガンマにユニは顔を下げる。
「おーい?」
「あーっ!!
またガンマ先生ユニにセクハラ〜」
そこに生徒会の他のメンバーも寄って来る。
「ガンマ先生…
まさか」
バジルの疑いの目にガンマは困った顔をした。
「おいおい、俺は生徒に手なんて出さない。
白蘭、いい加減なことばっか言って無いで真面目に仕事しろ」
「………」
ガシリと大きな手で白蘭の頭を掴む。
白蘭がちらりとユニの様子を伺う。
「だって、あんな人口密度高いところに入って行けないよ〜」
白蘭はへらへらと笑った。
「ガンマ先生方も手伝ってくれれば良かったのに」
ぼそりと呟かれた入江の言葉にガンマとバジルは肩を揺らす。
「やっぱり手伝った方が良かったんですね、ごめんなさい!!」
バジルはカクンと腰を曲げて謝った。
「いやいや、いいんだよ別に。
俺なんて何時も手伝ったねぇーし」
「ちょっとは悪いと思いやがれエロ親父」
「獄寺くんっ」
銀髪の少年獄寺がガンマを殴る。
それを一緒に来た沢田が叱る。
「ったく、お前もお前だ。
10代目のお父様からの推薦だからって甘く見てたが…
手伝うか手伝わないかはテメーで判断しやがれ!」
獄寺はバジルを指差し怒鳴る。
「まぁー、ま獄寺君。バジル先生はまだ来たばっかの新人なんだから」
白蘭がそれを宥める。
あれどっちが大人なんだっけ、と沢田は一瞬悲しくなった。
時々自分より大人な生徒に自信を無くす沢田だった。
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