歪みのリボーン
新任教師
新任教師としてステージに立った人物は、どう見ても自分たちと変わらない、または自分たちより幼く見える人物だった。
緊張しているのか、顔が固くなっていて、それでも必死にニッコリ微笑むその姿がとても可愛らしかった。
「可愛いっ!!」
と歓声が上がった。
後ろを見ると、我が生徒会長様も女子と一緒に騒いでいる。
元々この学園は先生方のレベルが高い中で、可愛い系の先生は余り居なかった。
例を上げるなら三浦先生や綱吉先生だが、彼の可愛いさはそれを上回っていた。
僕が生徒会メンバーでは無く、または今年から第三校舎の生徒にされる訳で無かったら、あの中に入れたかも知れない。
でも、そうでは無いのだ。
昨日ガンマ先生が言っていたことを思い、今日何度目かの溜め息をついた。
「第三校舎のクラスの担任になりました。
でも、他の校舎のクラスの生徒さんも仲良くなりたいので、皆さんよろしくお願いします」
新任教師バジルの話しに、生徒たちの悲鳴の様な不満の声が響いた。
そう、彼が自分たちの教師になることが不安だったのだ。
毎年新任教師が当てられ、辞めてしまう第三校舎の担任。
あんな可愛らしい先生じゃ、一日もつかも分からない。
今年から生徒会が第三校舎の監理者にされて、あの不良の生徒ばかりの校舎で生活しなきゃいけない僕にとって、頼り無い先生なんて正直来て欲しく無かった。
「えーじゃあ僕の担任?
よろしくネー
バジル先生♪」
後ろで先程と変わらない調子でバジル先生に手を振る白蘭さんに僕は顔を引きつらせた。
強い人はいいよなぁ。
手を振る白蘭さんに気付いたバジル先生は笑って手を振り返していた。
ああ、いい人そうだ…
ホント、第三校舎なんかじゃなければ喜んだのに。
始業式が終わった後、僕は生徒会としてバジル先生と第三校舎に向かうことになった。
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