short novel
マイ フェア レディ
「...なんねルビー」
秘密基地で珍しく椅子に座って本を読んでいたサファイアを後ろから抱きしめる。振り向いたその顔は恥ずかしそうな色で真っ赤。
「抱きしめられるの、そんなに嫌かい?」
「別に...急にしてきたから、ちょっとびっくりしたっだけったい」
そっぽを向いて、僕と目を合わせない。でも耳は赤い。そんな君が酷く可愛い。
「僕もたまにこういうことをしたいと思う時があるんだよ、サファイア。君を僕の中に閉じ込めて起きたいってね」
「...恥ずかしい奴と...」
「ねえ、こっちを向きなよ、サファイア」
遠慮がちにゆっくりとこちらを振り向く、赤に僕にそまりつつある君。僕と目線をあわせられないのだろう、伏し目がちだ。
「...これでいいったい?」
「駄目。僕への愛が足りない。前教えたでしょ?」
「うっ...」
何が足りないのかは教育済み。抱きしめられたら、キスをするようにと教えたから。そりゃ勿論最初は恥ずかしがってひたすら暴れて、中々僕にキスができなかったけど、今は違う。たどたどしいけれど、キスができるようになった。
サファイアは観念したのか、目をきゅっとつむると、ちゅっと僕の唇に触れるだけのキスをする。でもあまりにも一瞬すぎてキスされたかんじがしない。
「これで、いいったいね!」「キスしてる時間が短かすぎるよ、サファイア。もっと長く。いつも僕がしてるみたいに」
そのキスのことを思い出しているのか、まるで顔から湯気でも立ち上ってきそうなほどに真っ赤で。今にもぽんと爆発しそうだ。
「うううー!ルビーのバカ!スケベ!えっち!」
「あれ、キスし終わった後いつももの足りなさそうな顔してるのは、どこの誰だっけ?」
「うっあぅ...」
色気がまったくない奇声に吹き出してしまった僕。それに怒ったのか、腕を抓られた。
「そんなことしたって僕は君がキスをするまで腕を解くつもりはないよ」
「...わかったったい!」
ガタンと椅子が倒れる音がした。息つく暇もなく、僕の背中は床にたたき付けらる。しまったと思った。衝動でサファイアを抱きしめていた腕を話てしまったのだ。胸倉をサファイアが掴んで、僕に馬乗りになっている。
「はは、本当に君は力がつよ」
強いんだね、と言おうとした僕の唇はサファイアの唇で見事に塞がれていた。そして彼女の舌が僕の舌に触れる。そして、ポケモンが毛繕いしているようになめ回す。キスというより、ポケモンの技噛み付くにちかいかんじだった。
(はは、こりゃまだまだ教えなきゃならないことがいっぱいだ)
一生懸命にキスをしているサファイアを見て、僕は彼女にもう少し丁寧なキスの仕方を教えてあげようと思った。
ビギンズ教授なルビー
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