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short novel
CRAZY FOR YOU(モカ様への捧げ物)
相互記念小説になります。ご本人様以外のお持ち帰りは禁止です。











殺してやりたい



「優勝はまたルビー選手だあぁあぁあ!まさに総なめだぁあぁあ!こんにゃろ、少しは他の選手の為にリボンを取っておけ!」

「美しさを追求し、常にビューティフルな状態でいるためには、どんなコンテストにも妥協は許されないのです」

誇らしげにコンテストの優勝リボンを受け取るルビー。最近の彼はまさに絶好調そのもの。連日コンテストでは最高得点を弾き出し、審査員をメロメロ状態、虜にしまくっていると。それに始まる前からロビーでマイク片手に自分のポケモン達の美しさを声高に宣言してるんだから、当然っちゃ当然ったい。

でも今のあたしは活躍して沢山のリボンやトロフィーを貰うルビーを手放しに喜べない。寧ろとてもイライラとして、ムカつきがとめどなく押し寄せてしまうと。

理由はわかってるったい。

「ルビー君、今日も超素敵」
「彼のポケモンもそうだけど、何より彼自身すごくカッコイイ」
「あの切れ長の深紅の瞳、最高よね」
「あまりのかっこよさに会場の審査員も観客もメロメロよ」
「本当どうしてあんなに格好いいのかしら」
「ホウエンを救ったヒーローなのよ?当たり前でしょそんなの」
「ああ、素敵すぎる。それにお父様はジムリーダー...そうお金持ち...」
「お近づきになりたいわ」

絶対に見に来いと強制され、会場にいったあたし。でもそれ以上女の子達の話を聞きたくなくて、椅子から乱暴に立ち上がると、ずかずかとロビーに向かって歩きだす。

理由はわかってるったい!

容姿、性格、そして財力。この三つが揃っているルビーはホウエンの救世主ということも相俟って、今やトップクラスの有名人。それに引き寄せられて、彼の回りをまるで甘いものを見つけ、それに群がる蟻のように女の子達が、フリフリの綺麗なドレスを着た可愛い子達がそれは沢山寄ってくるったい。

いつもフィールドワークばかりしているあたしとは違う子達が。

キャーキャーと黄色い声が耳に嫌というほど入ってきて、あたしはそれらに冷たい一瞥をくれてやると、会場の外に出た。曇天の空からざあざあと雨が降りしきる中、熱くなっている自分を冷やすには丁度いいと、あたしはどこか頭の片隅で思ったけれど、両手が勝手に拳をつくり、いつの間にか手の平に自分の爪が食い込むほど握りしめていた。どうやら熱は全く冷めていく兆しが見えない。

理由はわかってるたい!

モンスターボールを取り出し、トロロを繰り出して、その背に乗ると、ひみつきちに向かうよう指示をだし、その場を去った。



******



「...」

ひみつきちで、縮こまってぬいぐるみを押し潰しそうになるほど抱きしめていたあたしを、ありとあらゆるマイナスの感情が襲う。心の中に煮えたぎるマグマのようにそれらは燃えつつ沸き起こっていく。目尻に涙が溜まっていく。

「...殺してやりたい」

「やあサファイア。相変わらずだね」

「...」

テレポートをして目の前に現れた、全てをわかった上でその感情をあたしにわざと抱かせ、そして愛を証明しろと強制する最悪で最愛の存在。

その名はルビー。

「さて君がどれだけボクのことを愛してくれているか、またボクがどれだけ君を愛しているか確認しあおうか?」

ルビーはいきなりあたしの背中に覆いかぶさると、カーペットに乱暴に押し付け、仰向けにした。そんな彼をあたしは殺気立ちながら無言で睨みつける。

そしてルビーは不適な笑みを浮かべて宣言した。

「ボクはね本当に嬉しくて嬉しくて仕方ないんだ。サファイア、君がボクに群がってくるあれらに嫉妬を抱いてくれることがね。それはボクの心に他の女を入れるなっていう、ボクを独占したいって欲望そのものを表しているから。ああなんて、なんて醜いんだサファイア。でもそれは激しい愛情の裏返し。愛の証明に他ならないんだよ。ああ、だからボクはサファイアが愛しくて愛しくて仕方ないよ。君のその顔がとても人間らしくて、狂ってしまいそうになるほど愛したくなる。だからこうして君を怒らせ、そして傷つけるのを承知でコンテストに来いって言うんだ」

「あたしあんたを殺してやりたい」

「サファイア、君に殺されるなら本望だよ」

愛してやりたい、狂ってしまうほどに。








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