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short novel
ムカつき☆バレンタイン
ムカつく!



ルビーはいつだってそう。その魔法のような手で服も、お菓子も、有りとあらゆる物をなんだって上手に作ってしまう。これくらい、なんてことないって余裕の表情で。あたしにはそういった才能はなかった。小学生の時作った雑巾はただの布の塊だったし、調理実習で作ったカレーは緑色で、食べた人が腹痛を起こし、病院に運ばれたんだから。今でも思い出すと、ちょっと凹む。

それに何より、あの時のルビーの"可哀相に。君の料理=テロを受けた犠牲者達の冥福を祈るよ..."言葉に腹がたって仕方がない。

「だから今回のトリュフは絶対に上手く作って、ルビーに美味しいって言わせたかったのに...ぎゃふんって...なのになして、固まらん!なして?」

明日はバレンタインデー。だから今こうやってチョコを作ってる真っ最中。どうしてかって?理由は簡単。あんなにムカつく男の子だけど、優しいところもあって...つまるところあたしはルビーに惚れてしまっているから。あげたいって思ってしまったから!

でも、なして?なして!

「ガナッシュ、また失敗してしまったとぉおぉおぉ!」

バットの中のガナッシュは、冷蔵庫に30分入れて冷やしたのに、なぜか固まっていなくて、べちょべちょ。これでは丸めてトリュフにはできない。

「な、し、て!」

「そんなの生クリームの分量が多過ぎるからだよ、サファイア」

後ろを振り向くとそこには呆れ顔のルビー。

「なしてアンタがここに!」

誰も入れないで、特にルビーは、と父ちゃんにいったのに!あたしは近くにあった泡立て機をルビーに投げつける。ひらりとかわすルビー。余計に腹が立つ。

「入ってくるなったい!」

「ボクはオダマキ博士に頼まれて入ってきたんだ。変な音がするから、もしかしたらサファイアがまた台所を破壊してるんじゃないかって。キミの調理方法はかなり野生的で豪快、ある意味テロに近いからね。そしたらこの有様じゃないか。台所を愛する者として、この状況は放ってはおけないよ、全く」

床に落ちた泡立て機を拾い上げ、計量カップを片手にルビーは続ける。ムカつく言葉をつらつらと。腰に手をおき偉そうに。

「それにキミは料理を成功させるには、正しい計量をしなければならないことをわかってないね。まあ、当然といえば当然か。キミはO型、大雑把だからね。」

あたしの顔、絶対に赤い怒りマークがついとる、今ものすごく!

「それはアンタも同じったい!」

「大雑把なんて心外だなぁ。確かにキミと同じ血液型だけど、ボクは都会人で几帳面だから、全然違うじゃない。育った環境が違えばこうなるんだよ、きっとね。それに野蛮人と同じなんて、なんかなぁ」

本当ムカつく!あたしはわなわなと震えている左手のボールをルビーに投げつけようとした。

「でも、ボクの為に不器用なサファイアがチョコを作ってくれようとしていたのは、すごく嬉しいよありがとう」

ルビーの笑顔にあたしの手は止まって、顔が熱くなっていく。恥ずかしい、恥ずかしいったい!言葉がでなくなると。でも今の今までルビーの一言、一言に怒りを覚えてきていたあたしは、またこうやって踊らされてしまうことを認めたくなくて。嬉しいけどなんかムカつくと。

「ってなんでまた投げつけようとするの!今キミ喜んだはず」

「せからしか!」


振り回されまくるのはなんかムカつくったい!









バレンタイン当日にあげたかった。ツンケンしてるサファイアが書きたかった。以上!

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あきゅろす。
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