姫と騎士
10
「マリア、もう機嫌は直ったのか?」
お父さまは私の顔色を伺いながら聞いてきた。
「少し、冷静になって考えてみたんです」
「…では?」
「お父さま、先ほどのご無礼をお許しください。私、少々取り乱してしまって。結婚のお話…慎んでお受けいたします」
「マリア!本当か!」
お父さまは立派すぎるくらいに立派な椅子から立ち上がり喜びと安緒の表情。
「ただし条件があります」
「条件?」
眉をひくりとさせたお父さまの瞳をじっと見つめる。
緊張感漂う空気の中、私はゆっくりと口を開いた。
「今日から成人の儀までの1週間、カイを私専属の護衛にしてください」
「ダメだ」
一寸の間も待たずに答えたのは騎士団長。
「ラファ団長、あなたには言っていません。私はお父さまと話しているの。割り込まないで」
「カイは私の部下なのだから、関係はある。一級騎士を王以外の護衛にすることは認められていない」
「そう。ならカイは特例ね」
「姫さまいい加減にしてください。私たちを困らせて楽しいですか?」
ラファ団長の聞く耳を持たないうんざりした様子に悲しい気持ちになったけれどそれはすぐに怒りに変わる。
「………って、」
「は?」
「だって!いいじゃない最後のわがままなんだから。カイを護衛にしてくれないなら私は結婚なんてしません!お兄さまの側室になるから!!」
「お、おいっマリア!」
再びその話題を出されると思っていなかったらしいお兄さまは焦りだした。
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