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姫と騎士
07


「おまえは聡明で美しい。西の王子もおまえを愛してくれるであろう。西国はいいところだぞ?国民は思慮深く、思いやりに溢れている」


「知っているわ」


私を一目でも見たならば愛さないはずがないことも、西国がいい所で国民も素敵な人が多いことも幼い頃から知っている。


「そ、そうか?」


「だって、カイの生まれた国ですもの」


「…そうだったな」


カイは西国の有力な貴族の子息であり、騎士になりたいという理由で東国へと幼い頃にやってきた。


詳しいことはよく分からないけれど西国の王族とも繋がりの深い家柄であるカイを東国は…お父さまは、好意的に受け入れた。


特別に城で生活することを許されたカイ。


ずっと周りには大人ばかりの環境だっからカイが来て、彼が城での私の一番の遊び相手になるのにそう時間はかからなかった。


騎士学校に入学する年の13歳になるまでの5年間、私たちは確かに一緒に時間を過ごした。


カイと5歳年が離れているから当時の私はとても幼かったけれど思い出はひとつひとつ覚えている。


その思い出の中でカイは西国についてたくさん話を聞かせてくれた。


いつか行ってみたいと思っていた。


一緒に行けたらいいねと語り合ったのにきっともうそれも叶わない。


「…あぁ、噂をすればなんとやらってやつだな」


お兄さまが呟いた。


私たちは向かい合っている格好だから私にはお兄さまが視線の先に誰を映しているのかわからない。


すると抱き上げられていた身体をゆっくりと降ろされる。


後ろを振り向いて、私は跪く目の前の人物に驚いて思わず息をのむ。


「っ!カイ!?」

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