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姫と騎士
01


私が欲しいと言ったなら、手に入らないものなんてない。


西国の貴重な一等級の宝石も、南国の幻の果実も、北国の真っ白な絶滅寸前の動物ですら、私の「欲しい」の一言で周りが勝手に用意してくれる。


自国の東国に至ってはわがままも無茶なお願いもなんだって聞き入れてもらえる。


お礼ににっこり微笑むだけで授けたかいがあったと相手が満足するのを私は知っている。


次は何が欲しいのかすぐに問われてどんどんものが増えていくから私の特別な部屋は希少価値の高いもの、世界中の宝物で溢れているのだ。


手に入らないものなんてない。


みーんな、私の思う通り。


世界は自分を中心に回っている。


ずっと私はそう信じて疑わなかった。













「結婚っ!?何を言っているのお父さま」


「マリア、おまえはもう15歳になる。1週間後に成人の儀を執り行えば立派に大人の仲間入りだ。王家の姫は成人と同時に他国へ嫁ぐのが通例」


正式な行事以外で足を踏み入れる機会なんてほとんどない王の間。


お父さまに突然呼び出され、何事かと思えばいきなり結婚が決まったと言われた。


相談でもなく、すでに決定事項として話を進めるお父さまにイラ立ちを覚える。

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