恋と呼ぶにはまだ早い
09
「みぃちゃん。なんか今日ってバスケ部お休みらしいよ」
「…ん?」
お昼休みの終わり頃に図書委員の仕事を終えて帰ってきたりっちゃんに突然言われた言葉に私はどう反応すればいいのか分からなかった。
委員会決めの時にじゃんけんで負けたりっちゃんは図書室管理のために昼休みが度々つぶれる図書委員になってしまっていた。
ちなみに私はいまのところほとんど仕事も活動もない保健委員。
「顧問の先生の都合で自主トレもなしの久々完全フリーだ!やったぜ!…って、さっき図書委員一緒になった男子バスケ部の人に自慢された」
「そ、そうなんだ」
図書室は男子棟、女子棟兼用のため基本的に2人で行う図書委員の当番も男子とかぶることがよくあるらしい。
この学校の男子バスケ部は強豪校に分類されていて練習も厳しく休みはほとんどないから、平日に練習が休みなのはとても珍しい事態なのだということだ。
「約束とかしてないの?」
「約束?」
「瑞波と」
耳元でこそっと名前を囁かれた。
私は反射的に首を振る。
今日の部活が休みなことすらも知らなかったのに陽光と約束なんてしているはずがない。
「もったいないよ遊びに行かないと!制服デートしなきゃみぃちゃん」
「制服デートって…」
「高校生になってからまだしてないでしょ?」
まだっていうか、そもそもデート事態を私たちはあまりしない。
時々2人でどこかに行くことはあってもそれは付き合う前からあることだったし、デートだと実感するデートなんてしたことないかも。
外にいて手を繋いで歩くこともないしなぁ…
BackNext
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!