恋と呼ぶにはまだ早い 03 陽光の「は?」の言い方が、どんどん怒りを含んだものになってきている。 けれどりっちゃんはその事に気づけていないみたいで、まだお喋りを続けた。 「好きな人とはずっと一緒にいたいものだもんね」 「黙れブス」 「えー!ブスってひどい」 「勘違いの仕方がありえねぇんだけど」 陽光はそう言いながら斜め前のりっちゃんの席をがんがん蹴って、自分との距離を離そうとする。 「もう!みーちゃん、みーちゃん、瑞波なんとかして!」 なんとかしてと言われて陽光をなんとかできる人間はとても限られている。 そしてその限られた選ばれしメンツの中に不甲斐ないことだけれど私は含まれていない… でも、りっちゃんが困ってるならっ…! 「ひ、陽光やめなよ。りっちゃんが嫌がってるし周りにも迷惑が…っ」 「はぁ?」 「ぅ、あ」 横からひと睨みされたら、それだけで肩がすくんで怯えてしまう。 情けない… 「ちょっとお!みぃちゃんいじめないでよ瑞波」 「おまえ本当にうるせぇな。どっか行け消え失せろ」 「残念ながらどこにも行かないです!だってもうそろそろ…」 りっちゃんの言葉を遮るように、タイミングよく教室のドアが開いた。 「失礼します」 覇気があまり感じられない疲れたような声のあいさつで、教室に入ってきたとある人物。 「遼亮!」 りっちゃんはとある人物… 守沢くんが現れるとすぐに反応して席を立ち、入り口まで出迎えに向かう。 BackNext |