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小説
People who live in the dark.(巷説:又百)



嗚呼、私も闇に行きたい。
貴方の傍に―――



りん。


微かな鈴の音。


「又市さん」

「なんでやしょう」

「外は寒くありませんか? どうぞ『中』へ、お入り下さい」

「………先生ェ」


私が誘うには、これが精一杯。



彼等は頻繁に、私を『お日様』だと言う。
だから『此方』に来るなと。
『闇』に浸かりすぎては戻れなくなると。

なんて身勝手。
己の知らぬ間に、仕掛けに組み込まれ。
危険に身を晒したこともあると言うのに。



「私ね、貴方方に出逢えて良かったと思います」

「先生ェ。奴ァ、後悔しておりやす」


又市さんを部屋に上げ、共に緑茶を啜りながらのんびりと話す。
成り行きとはいえ、ずるずると続いているのだ。



私が言わなければ、何も言うつもりはなかったと嘯く彼と想いが通じて。

共に過ごす頻度が増えた。






私と彼の関係を知っても、彼等は未だに私を『お日様』だと言う。
『お日様』だけでは、光が強すぎる。
『闇』だけでは、気が滅入る。
『陽』と『陰』がなければ、この世は成り立たないのに。



『私』だけ一人なのは、狡い。
『彼等』が居なければ、寂しい。



彼が居た筈の布団はすっかり冷えきっていて。
残された私は一人、つらつらと考えていた。






闇に棲む者たち

私が『白』で貴方が『黒』なら、混じりあって『灰』になりたい


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あきゅろす。
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