小説 俺と姉上。 (※『オレと襲撃犯。』ルー視点。精神世界内) 俺は『レプリカルーク』で『ルーク・フォン・ファブレ』。 でも本当は『レプリカルーク』の「ルー」。 この微妙な違いは大きいのだ。 Q.軍人とは何ですか? A.国に属し、王候貴族、国の宝である民間人を守り、時に戦う人です。 俺の名付け親であり育ての親である姉上が居て、父の様な兄の様なローレライが居て、そして大事な家族がいて。 俺的には平和だったのに。 家族がいれば、それで充分幸せなのに。 それをぶち壊しやがった!! 髭と髭の妹が!!!! 「何なんだよ、あの女!!」 いきなりやって来て、髭と勝負にもならない事をして。 姉上に命令する奴なんて初めて見たぞ!? おまけに、あれが軍人!? サフィや、アリィや、シンクと同じ軍人!? 最初に言っておく。 「身体」は『レプリカ』ではあるけれど、キムラスカ王族の貴色持ちだぞ!? 「身体」である俺は被験者(オリジナル)より色素が劣化していたみたいで、朱金色の髪の毛と翡翠の目だけど! 姉上なんて、綺麗な苺色の髪の毛と濡れた若葉色の目なんだぞっ!? 「………すまぬ、ルー」 「何でローレライが謝んだよ!? 悪ィのは髭とこの女だろ!?」 落ち込んだ声を出す、―――炎色の髪と緑玉色の目の男―――ローレライ。 ローレライは疑似超振動をコントロールして、姉上(俺達を含む)を再構築したじゃんか! そうだよ、絶対にローレライは悪くない!! 全部、この女―――襲撃犯―――が悪い。 姉上との間に疑似超振動を起こした張本人だ。 しかもコイツ、姉上を無理矢理馬車に押し込みやがった!! ((ルー? オレは大丈夫だから落ち着けー?)) 「でも姉上っ!!」 ((前に言ったと思うけど、この襲撃犯との接触から続々とどっかイカレた軍人のオンパレードよ? 初っ端からそれじゃ、この先ヤバいよ? 叫び過ぎて、喉潰すから落ち着きなさい)) 「………」 「………すまぬ、ルキ」 ローレライが悪い訳じゃない、のに。 どう考えたって、襲撃犯が悪いのに。 どうしてくれよう髭。 コノ恨ミ晴ラサデオクベキカ…。 ローレライは只々黙って見ていたので、恐らく俺に賛同してくれるだろう。 真綿でゆっくり首を絞める様に、髭を追い詰める方向で………。 浮かんで「これだ」と思うものだけをメモに走り書きする。 姉上が俺に話し掛けているのに気付くまで書いていたら、それはもうビッシリと埋まっていた。 姉上関連になると、俺とローレライが暴走しやすいから止めるのが大変だって、シンク言ってたっけなー………。 ((おーい。オレの目ェ通して、夜空が見えるか?)) 「見えるけど………姉上?」 ((ん。襲撃犯が寝たの確認してから、馭者のおっちゃんに頼んで馭者台に移らせて貰ったんだ。ローレライも見えるか?)) 「有無。………綺麗だな」 「うん。すげぇ綺麗」 音譜帯と星が良く見える。 馭者のおっちゃんは良い人だ。 姉上が冷えない様にって、フード付きマントと毛布をくれた。 姉上の耳を通して聞こえる、色んな話。 こんな魔物と遭っただとか、こういう客が居たとか。 やっぱり邸や『家』の中だけじゃ知らない事ばかりだ。 先刻までグルグルモヤモヤしててキモチワルカッタのに。 姉上が俺達に笑い掛けてくれるだけで、それが吹っ飛んだ。 やっぱり俺は姉上が、家族の中で一番大好きだ。 やばい眠くなってきた。 ((眠い? 寝ときな、ルー)) 「………ん」 「落ちかけておるな………」 ((ウチの子は可愛いねぇ)) 「同感だ」 姉上とローレライが優しく笑っている気配。 姉上とローレライは、やっぱり歴とした俺の親で。 二人が居てくれるだけで、スゲー安心するんだ。 でも、姉上が言ってた様にイカレた軍人が居て、更に振り回されるなんて思ってなかった。 馬鹿女のユリアと、その傲慢な子孫なんて大ッッ嫌いだ!!!! '12.12.01 [*前へ][次へ#] |