小説 The knife of ice is held.(めだ箱:宗スレ善) それは、多分必然。 「君を殺したい」 「やれるモンならドーゾ」 人間が好きであるが故に、他人を見ると殺人衝動が止められない、宗像形。 異常である幼馴染み、黒神めだかよりも遥かに異常だという事を隠して、普通を演じきっている人吉善吉。 二人が出逢ったのは、箱庭学園地下。 フラスコ計画の為だった。 宗像は計画参加者として。 善吉は計画を潰そうとして(めだかの為についていった)。 出逢ったのだ。 ある意味、運命だったのかもしれない。 闘いの最中に、お互いが解ってしまった。 宗像は善吉の異常性を。 善吉は宗像の殺人衝動を。 理解してしまった。 だから。 闘いの後、『オトモダチ』になったのだ。 「………ねえ、善吉君」 「なんですか?」 「黒神さん、殺してもいいかな」 「駄目です。最悪、先輩を殺さなきゃならなくなる」 「………僕より黒神さんが大事かい?」 「先輩の方が大事です。だから止めて下さい」 「………君に殺されるなら、本望なんだけど」 「イヤです。何で自分の理解者で恋人を殺さなきゃいけないんですか。絶っ対イヤです!!」 物騒な会話だが、二人の纏う空気は何故かピンク色だ。 善吉が叫ぶように会話をぶったぎると、宗像は嬉しそうに微笑む。 「やっぱり君を殺したい」 「先輩のそれは、愛情表現なんですね」 「そうかも」 「だったら―――」 いっそ、殺してくれて構わない。 ただ。 一人になるのは嫌だから。 「お互い、殺すっていうのは?」 「あ、いいかも」 二人でうっそりと笑い、お茶を飲みながら、ひっそりと計画する。 これがこの二人の日常。 誰も知らない、二人だけの。 誰も入れない空間。 「好きだよ、善吉君」 「俺もです、宗像先輩」 二人は凶器を隠し持つ。 同じ物を、心の中に。 氷のナイフを抱いて お互いを殺すなら、完全犯罪でなくては!! [*前へ][次へ#] |