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誓いの日
誓いの日I エロ注意!
熱く潤った狭まりの中に身を沈めると、内部に微かな抵抗を感じた。
その、乙女である証拠の手前で一度動きを止め、きつく目を閉じている桃香の頬にそっと触れる。
暫し身動きもせず見下ろしていると、これからその身に起きる痛みに備えて固く閉じられた瞼が小さく震えた。

「…ネジ様?…」

掠れる声で俺の名を呼びながら微かに開かれた瞳は、熱に浮かされたように潤んでいる。
焦点の定まらぬ目でぼんやりと見上げ、誘うように開いた唇から浅い息を繰り返す…

「桃香…」

名を呼び潤む目をのぞき込むと心無しか体から力が抜け、微かな吐息を漏らして無意識に唇に笑みを浮かべた。
またか…
今行われている行為とはかけ離れた純粋無垢で可憐な笑みに、一瞬にして俺の中に潜む残忍さが顔を出す。
つくづく俺の中の残酷で暗い闇の部分を触発する女だ。
一気に花を散らしてこの女の全てを奪う。
体の繋がりで全てを支配する。
再び傲慢な考えが脳裏を染め上げた瞬間、うっすらと笑む唇に深々と口付け、侵入を阻む小さな抵抗を無きものにするため、強引に腰を突き進めた。

「う…うっ!!」

深々と合わされた口内に響く呻き声。
開かされた両脚に緊張が漲る。
痛みに驚き抵抗を試みる両手の自由を奪い、酸素を求めて逃れようとする唇だけを解放する。

「あ…っ…はぁ…ネジ様…」

荒く息をつきながら、乱暴な行いに傷ついたように見上げる目。

「うっ…あぁっ!」

その視線を無視し軽く腰を揺すると、叫び声を上げながら新たな痛みに顔を背け、固く目を瞑った。
その苦痛に耐える横顔はあまりに美しく……そして、愛しい。

ーー今は滅びた里の生き残り。
高貴な血筋故争い事に巻き込まれぬよう、この日向の護りの中で生きる事を余儀なくされた。
自由を奪われた儚い存在。
籠の中の鳥…

そしてこの女を俺は…
一生かけて護り抜く。
俺の中にも存在する『愛』と言うもので雁字搦めにして、大切に、大切に…

「辛いか、桃香」

自分で乱暴に奪っておきながら、辛いかなどと馬鹿な問いかけだろう。
さしもの桃香でも非難めいた言葉の一つも吐くだろうと反応を伺った。
しかし…

「いいえ」

意外にもしっかりとした声を発し、ゆっくりと首を巡らせて小さくかぶりを振る桃香が口にした言葉は、非難などではなかった。

「…嬉しゅうございます…」

痛みからなのか、それとも言葉通り喜びからなのか、涙で煌めく目で見上げるその顔には、再びあの純粋無垢な笑みが浮かんでいた。
瞬間、言いようのない熱い思いが体中に溢れ出す。
数分前は同じ笑みに残虐な闇の部分を刺激されたと言うのに。

「桃香…愛している。」

こんな言葉が何の苦もなくこの口から滑り出すとは…
自他共に冷酷と認めるこの俺の口から。
まったく…

「ネジ様…わたくしもお慕いしております。一生お側に…」

体の痛みに耐え、真摯な眼差しでそう告げながら見上げる澄んだ瞳。
煌めくそこに映るのは、紛れもなくこの俺の姿…


「くっ…」

もう自制心など無きに等しい。
温かな体に包まれ、我を忘れて所有の印を刻みつけ、身をくねらせる華奢な体を抱きつくす。

「ネジ様…ネジ様っ…」

背に感じるチクリと刺すような痛みは、桃香の欲情の証し。

「あぁっ…あぁっ!」

やがて熱い蜜で潤う部分が更に狭まり、桃香の声が次第に甘く上擦り始める。その官能を刺激する調べを聞きながら、自身の欲の高まりの極みを感じ、細腰を引き寄せ強く抱きしめる。
本能からか、細い足を腰に巻き付けるようにしがみついてくるのに任せ、一気に突き上げ欲を吐き出した。

「あぁ…ネジ…様…」

体の下で小刻みに体を震わせ、小さくわななく胎内に最後の一滴まで精を放ち、妖艶に濡れた唇を塞いで熱い舌を絡めとる。

もうこの女の全てが俺の物だ。

最高の満足感と今まで知り得なかった甘い感動に酔いしれ、荒い息を繰り返す『妻』の顔を覗き込む。
汗で髪が額に貼り付き、口付けのせいで唇は赤く腫れ、細く白い首筋には所有の証しの赤い華が散らされている。
乱れきったその姿はしかしこの上なく美しく、繋げたままの体が今にもまた熱を持ってしまいそうだ。
だが桃香にとって初めての行為、これ以上無理をさせるわけには行かないだろう。
今一度軽く口付けゆっくりと体を離す。
「ん…っ」
小さく呻きながら、戒めを解かれたかのように力無く投げ出された白い太股の間に目を向け、そこが鮮血で染められていることに気付いた。
知らず鋭く息を呑んでいた。
血など見慣れている。
しかしどうという事はないはずの鮮血の赤が、愛しい女の流したものだというだけで、酷く俺を不安にさせる。
すぐさま欲望に任せて抱きつくした事に罪悪感を覚えた。
もっと優しくすべきだった。
破瓜の血を流すのは処女の定めといえども、この量は…酷いのではあるまいか…
「桃香、すまない」
次の瞬間には両腕に抱き上げていた。
何が起きたのか解らず、目を見開く桃香をよそに、部屋に備え付けの湯殿へと向かう。
幸いまだ湯を落としていない湯船の中に、桃香を抱いたまま身を沈める。

「ネっ…ネジ様…」
「すまない桃香。痛むだろう…」

気遣わしげに見つめながら、膝の上に抱えた桃香の脚の間にそっと触れた。

「あ…」

優しく探る指の感触にピクリと体を震わせ、蘇った羞恥心にぎゅっと両の腿を合わせようとする。

「他意は無い。ただ余りに出血が…」

痛みと情交の名残を拭い去らねばと内心焦る俺を、暫し呆気に取られたように見上げていた桃香は、やがてくすりと小さく笑い声をたてた。

「…まぁ…ネジ様。」

クスクスと恥じらいながらも笑みを漏らす様子に、人の気も知らずにと少々憮然として眉間に力が入りかけたとき、細い指がそれをさせまいと触れてきた。

「ネジ様…大丈夫ですわ。初めての女は皆…こうなるのですわ…」

羞恥心の強い桃香にしては珍しく、俺を諭すようにそんな事を言う。
何を…はじめはあれほどに恥じらい、下らん事で思い悩んでいたくせに。
一体何なんだ急に余裕を見せやがって。

「そんな事は知って…」
「お優しいのですね、ネジ様…」
「なっ…」
「嬉しゅうございます。でも、大丈夫でございます。」
「………………」

文句の一つもいってやろうとした俺の言葉は、小憎らしいほど余裕のある口調に遮られ、二の句を継ぐことが出来なくなる。
このっ…
まるで俺が何も知らない馬鹿な奴のようじゃないか。

「お前は…」
「夢のようでございます。里も…肉親も失った根無し草の私が、この様に素晴らしい方の妻となれたのですから…」

心の底から幸せそうにそう言って、可憐に微笑むその美しい顔を目にすれば…

「ふん…」

口にしかけた言葉を呑んで、悔し紛れに鼻を鳴らして不満さを装ったとしても、愛を込めて甘い口付けを落とさぬ訳には行かなかった。
まったく…調子が狂うな。

「まぁ…ネジ様…その様な難しいお顔はなさらないで下さい…大丈夫ですから…」
「……う…わかった…」

俺の眉間のシワの意味を今日に限って勘違いしている桃香にこれ以上何を言っても叶わないと諦め、優しい眼差しをじっと見返す。
俺は…
今日この日を、この誓いの日を未来永劫忘れない。
お前は俺の物だ…
一生離さないから覚悟しろ。
最後はいつもの俺らしく胸の内で傲慢に呟き、腕の中の愛しい妻を優しく抱きしめた。


おわり


もの凄く間があいてしまいました…
すみません…お粗末様で御座いましたm(_ _)m


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あきゅろす。
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