a man with a double character
∂
僕が笑うとジロー以外の三人にはまじまじと見てきた。
「つまり…二重人格ってことでいいのかな?」
『そう解釈してもらって構わないよ。…で、来るなって言ったのになんで来たの?』
「…俺は彗歌に酷いことをしちまった!罪滅ぼしとは言わねぇ!!俺は…彗歌の役に立ちてぇ。それに…。」
『それに?』
「それに、あいつらの目を早く覚ましてやりてぇ…。」
宍戸は強い決意に満ちた目をしていた。
他の三人の方を見ると同じような目をしていた。
そうか…彼等は僕が思っていたより、強かったみたいだ。
そして、滝の気持ちもわかった。
滝はテニス部を元に戻したい。
その気持ちが目を見て強く伝わった。
『…そう。なら、今日はよろしく。』
僕は意識を彗歌に戻した。
『 』
最後に聞こえないくらいの小さい声でそう言ってみた。
ああ、僕らしくもない。
『……あれ?私…。』
「あ!気がついた?」
『…ジロー?…私、確か雛歌と代わって…。あ!今何時!?』
時計を見るとまだ8時30分だった。
部活が始まるのは9時から。
『よかった…まだ30分。』
「でも、早い人はそろそろ来ますよ。」
「そうだよね。」
そうだ、もうそろそろ…。
皆が来てくれたから最初の計画が出来る。
『皆が来る前にコート整備しなきゃ…。』
「手伝います。」
「俺も!!」
後の二人も頷いてくれた。
『ありがとう。』
私はコート整備をしながら宍戸達と一緒に作戦のおさらいをしていた。
まず、皆が部室に来たら私は隠れて部室から誰もいなくなるのを待つ。
ここで私がリンチにでも合って動けなくなったら完全に終わりだ。
そして、誰もいなくなったら私はスクリーンをセット。
10時になったら宍戸達が皆を呼んで真実を明かす。
今日が最後だ。
正直上手くいくかはわからないけど…。
「絶対にうまくいくよ!!」
『ジロー…、うんそうだよね!』
ジローは私の不安をわかっていたかのようにそう言ってくれた。
コート整備が終わると同時に校門辺りが騒がしくなってきた。
テニス部が来た証拠だ。
『皆、よろしくね!』
私は急いで隠れ場所に向かった。
さぁ、決戦だ。
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