a man with a double character
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「雛歌、そろそろ昼休みが終わるよ?」
『…そうだね。』
予鈴が鳴る5分前と言ったところかな。
「俺は教室に行かせてもらうわ。教室遠いしなぁ。」
そう言うと、忍足は直ぐに部室から出て行った。
「雛歌、俺達も行こう!」
『…いや、先に行ってて。』
…いまからなら、本鈴までには間に合うかな?
『僕には少しやることがあるんだ。』
「やること?」
『彗歌にとって、最高のフィナーレを迎えるための証拠集めのためさ。』
「だったら手伝うC〜。」
『…いや、直ぐに終わるから。だから先に行っててもらっても問題は無いさ。』
簡単な作業だ。
準備は僕だけで十分だ。
「…わかった。直ぐに来てね!絶対だよ!」
『わかってるよ。』
そう言って、ジローを先に教室に向かわせた。
『……さて。』
今からやることは、録音テープとビデオカメラを見つからない場所にセットすること。
これで、2日後に全てを終わらせるんだ。
『…これでいいかな。』
僕は見つからなさそうな場所にカメラとボイスレコーダーを置き、スイッチを押した。
『…教室に戻ろう…………っ。』
…うっ、ダメだ……
……そろそろ、キツくなって…きた…。
『…雛歌?』
…彗歌。
意識が戻ったんだ。
『…うん。大丈夫?』
…大丈夫。
でも、少し疲れたよ。
『うん。雛歌、代わって?』
でも…
『いいから。』
……ありがとう、彗歌……。
雛歌、私と代わるの…結構辛いんだな…
雛歌ばっかりにたよっちゃだめ!
……私も雛歌を守らなきゃダメだ。
大丈夫、大丈夫。
さぁ、早く教室に戻ろう。
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