a man with a double character
↓
誰かに…彗歌以外の誰かに心配なんてされたことがなかった。
……あったかいんだね。
……芥川に抱きしめられたところがあったかい…。
………でも、彼は……
僕はいつの間にか涙を流していた。
無意識に…
「……雛歌。」
『…ありがとう、芥川。』
そう、言うと芥川は照れたように笑い、その後に少しムスッと顔を膨らませた。
「…ジローって呼んで!」
『え?』
「雛歌にもジローって呼んでほしいC〜。」
そう照れたように言う、芥川が可愛く見えた。
……僕も末期だな…
『わかったよ、ジロー。』
「うん!」
ニコニコと笑うジローをあの女には絶対に取られたくないと思った。
……ジローは彗歌にとっても大切な人だから…
「あー、二人の世界に入ってるとこ悪いんやけど…」
今まで黙っていた忍足が話しかけてきた。
…そういえば、コイツは敵だったな…
『何?』
僕は睨みながら問い掛けた。
……どうやらコイツは少し真実に近づいたかな?
「あのな…暴力を振るってすまんかった。許さんでええ。せやから謝るだけ謝らせてな。」
『…わかった。だけど、言われなくても許す気ないから。』
「……直球やなぁ。」
君は彗歌に傷をつけたんだ。
だから、許すわけない。
「とにかく、俺はもう暴力振るう気はないわ。せやから、安心したってぇな。」
『……。』
なんだかムカつく奴だ。
だけど、もうコイツは彗歌に害はないだろう。
その点だけは敵を減らせてよかったよ。
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