a man with a double character
↑
忍足side
………雛歌か…。
コイツが彗歌のもうひとつの人格だとは薄々気づいとった。
せやけど、ここまで狂っとるとわなぁ。
……恐怖すら感じるわ。
「……雛歌……君は…可哀相だC…。」
ジロー…何言っとるんや?
…可哀相って…
『は?』
今まで笑っていた雛歌も訳がわからないという顔をしていた。
「……だって、彗歌の変わりに狂うって…彗歌は助かるけど…雛歌は…!」
『……っ、うるさい。』
「雛歌だって、狂うのは辛いはずだよ!!」
『っうるさい!!!』
雛歌はジローに掴みかかった。
「ジロー!!」
『うるさいうるさい!!お前には関係ない!!僕はいいんだ!狂うことに何の抵抗すらないんだ!!彗歌のためならね!!』
「…っ、だって…雛歌だって…心配だよ。」
……ジロー…
どんだけ優しいんや…
こいつは…美乱をイジメ…
……イジメ…なんてしたとこは見たか?
美乱は泣きついてきとるだけや…
………まさか…
『心配?はぁ?ふざけないでよ?僕の心配なんてしないで、彗歌だけを心配してればいいんだよ!!』
「違う!!雛歌だって心配するよ……だって、雛歌だって…彗歌だC〜」
『……っ。』
雛歌は一瞬悲しそうに表情を歪ませた。
『……心配されたのは…彗歌以外に僕は初めてだよ…。』
「……うん。」
ジローはそっと、雛歌に抱き着いて…。
「…俺は……彗歌も……雛歌も守るから。」
『……ありがとう。』
雛歌はそっと涙を流した。
……確かめへんとな…
真実を……
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!