a man with a double character
→
みんなみんな、悔しそうな顔してるね。
中には泣きそうな顔もいるよ。
あはは、愉快だなぁ。
「……ま、って…。」
この最悪な雰囲気の中で声が聞こえた。
……彼は…
「…まって、彗歌。」
『……何?……芥川慈朗。』
「……っ。彗歌、みんなちゃんと…反省だってしてるんだよ…。…もう、みんな味方なんだよ?」
『…それが?』
「……えっ。」
『それがどうしたの。』
芥川はマヌケ面だった。
というかさ…
『…ムカつくんだよね…そういう、いい子ぶってんの。』
「お前、何言ってんだよ!?」
宍戸が叫んできた。
うるさいな…
『…だって綺麗事でしょう?…じゃあ芥川は僕と同じ状況だったら…簡単に許せるの?』
「……。」
ほら、だんまり。
人は自分の都合が悪くなると黙ったり言い訳をする。
……君もそうなんでしょ?
『いい子ぶってんじゃないよ。…偽善者が。』
「……。」
いい加減反応してくれないかなぁ…
イライラしてくるよ…。
『ほら、言い返してみせなよ…。』
「……誰?」
『……は?』
「君は…誰?」
……何を言い出すかと思えば…
…誰って
彗歌とは性格が違うことかな?
「…君は…彗歌じゃないCー。だって彗歌は…俺のこと、ジローって呼ぶよ。雰囲気だって違う。……だから、君は誰?」
『………。』
……コイツ…
雰囲気とかって…性格のことは…言ってない?
呼び方?
…………コイツは……
ああ、そっか。
彼は彗歌に――
コイツなら許してもいいかもね。
僕は芥川の前に立ち、誰にも気づかれないような音量で言った。
『……芥川、今日の昼休みに部室に来て。』
「…部室?」
『教えてあげる。』
君は、特別だよ。
第一、偽善者でも彗歌の方に最初からついていたからね。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!