a man with a double character
●
私は自分の部屋に入り、すぐに着替えてベッドに入った。
『……うっ。』
さっきの人は何?
美乱の取り巻き?
テニス部の人?
怖い
なんで私ばっかりこんな目に…
もう、やだよ…
私はどうすればいいの…?
「教えてあげる。」
えっ
何?この声は…
「お前なんていらないんだよ。」
私は、いらない…?
「お前は誰にも必要とされてないんだよ。」
………そう、だよね…
私なんて…
「だから…」
………?
「お前が死ねばいいんだよ。」
私が、死ねば?
そっか、そうすれば…
『……っ』
あれ?
夢、だったの…かな…?
……私が死ねば…
そうすれば…
私は開けてあった鞄から、キラリと光る物を見つけた。
『…これ。』
さっきのカッターの刃だ。
入れたままだったんだね…
『そうだ、これを使えば…』
私はカッターの刃を手に持ち、そっと左手首に持っていった。
そして…
スッ
『……っ。』
左手首を切った。
痛いし、ドクドクと血が流れる…
『…彗歌。』
…あ、れ?
私の声?
『彗歌はまだ生きなきゃダメだよ!!』
だって、さっき夢でも死ねって…
『夢は所詮夢だから!だから…』
…でも、でもでも…
『お願いだよ…生きて…彗歌。』
あっ…
ごめん、ごめんね
………雛歌。
『…やっと、やっと名前を呼んでくれた。』
ああ、そっか。
今日、私の変わりをしてくれたんだね…
だから、だから強かったなんて言われたんだ…
ありがとう、雛歌。
『…やっと、気づいてくれた……。僕がついてるから、死なないでね、彗歌。』
うん。
そして、私は眠りに付いた。
左手首の痛みを感じ、生きている実感を感じながら。
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