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a man with a double character

 



帰り道。

一緒に帰っていた日吉達と別れ道で別れ、今は一人だ。


今は夜だし人もあまりいない。


私は今日のことを思い出そうとしていた。


私に何が起こったの?

ジローや日吉の言ったような事をしたの?


なんで、思い出せないんだろう…


なんでだろう?



………タン



『…?』


誰かいるのかな…?



…ザッザッザッ



通行人?

いてもおかしくはないけど…

なんでだろう、視線をかんじる…。


私は後ろにそっと振り返ってみた。

だけど、誰もいない…


気のせい?

あれ…?

足音も聞こえない…


私は気にせず歩いた。


……ザッザッザッ


また聞こえる。


私とは違う足音が。


たまたま?偶然?


…私と同じタイミングで足音が聞こえるのは…?


私は怖くなって走り出した。



…ザッ、タッタッタッ



『……っ。』



なんで、なんで私が走り出したら走るの?


怖い。


私を捕まえるの?


また、殴られるの?


嫌、嫌だよ、嫌嫌いや嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌いや嫌いや嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌いや嫌嫌嫌嫌


怖い、怖い怖い怖い



私は全力で家まで走った。


私と、同じタイミングで走る足音に逃れるため。


私に向けられる視線から逃れるため。



家までの道のりがいつもより遠く感じたのは、気のせいではないと思う。



私が家に着くと足音は鳴っていなかった。


良かった。


家までは追って来なくて…



私は家の中に入った。


お母さんが私を無視する、一人同然の…

温もりもない、冷たい家に。





 

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