a man with a double character
★
そういえば、なんで滝君はこんな時間までいたんだろ…
今はだいたい7時だ。
『ねぇ、なんで滝君はこんな時間までいたの?…私にさっきの事を伝えるため?』
「…まぁ、そんなとこかな。」
『……そっか。』
「うん、もう夜だしもう帰ろう。ほら彗歌、鞄だよ。」
『うん。』
来たばっかりだから制服のままだから、着替えなくて平気だ。
…制服、汚れちゃったな…。
私は準備をするため、鞄に手をかけた。
『……っ。』
鞄の中に入っていた物で、指を切ってしまった。
………血がでてる…。
「!!彗歌!?血が出てるCー!!」
『………大丈夫だよ。』
「…これは、カッターの刃ですね…」
多分、テニス部かクラスの誰かに入れられたんだろう。
血がドクドクと出てくる。
…………綺麗。
「彗歌、ほら指出して。」
『うん。』
「…これでよし。」
私は滝君に絆創膏を貼ってもらった。
『ねぇ、滝君は美乱の味方?』
「………どっちかといえば、彗歌の味方。」
『!!』
びっくりした。
滝君も、味方?
うれしい、うれしいんだけど…
ダメ、だ。
ダメダメダメダメダメダメダメダメダメ!
あのこと言わなきゃ。
『…………ないで。』
「えっ?」
『みんな私を助けないで!!』
「…っ、彗歌!!」
『ダメ、ダメなの!!私を、私を助けたらダメ!!なんでジローは私を助けたの!!ダメだって言ったのに!!!ダメなの!!私を助けちゃ、ダメなの……。』
もう、言い出したら止まらない。
『私を助けないで!!優しくしないで!!見て見ぬフリしてよ!!みんな怪我しないでよ!!』
「…彗歌!!」
バチン!
『………っ。』
「あなたは馬鹿ですか。」
『…………ごめん。』
日吉は私を平手打ちで殴ってきた。
……加減をして。
私に頭を冷やせって事かな?
「……はぁ、もう帰りましょう。」
『……うん。』
私達は家へと帰った。
絆創膏に付いた血はまだドクドクと広がっていった。
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