a man with a double character
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私を助けてくれたのはジローだった。
あの美乱に嵌められた日、私に暴力を振らずにいた人物だ。
あの時、美乱の泣いているところを見たはずだ。
『なんで私を助けたの?』
気が付けばそんな事を聞いていた。
「そんなの、彗歌が仲間だからに決まってるC〜」
私はびっくりした。
仲間じゃないと言われたのに、また仲間と呼んでくれた事に。
『…なんで?……みんな美乱を信じて、私を切り捨てたのに…なんで?ジローは美乱を信じてるんでしょ?』
「……ごめん、俺わかってた。美乱ちゃんが嘘ついてるって。…でも、みんなと、対立するのが怖くて…それで、彗歌を、傷つけちゃって…」
『…ジロー?』
ジローは泣いていた。
ああ、泣かしているのは私なんだね。
私のためにそんな綺麗な涙を流してくれるんだね。
『…ありがとう。』
「えっ?」
『助けてくれてありがとう。』
ジローはちゃんと私を助けてくれた。
今の私にとってそれはとても嬉しい。
「…うっ、彗歌…俺、絶対に彗歌を…助けるから!…何があっても助けるから!」
『……ありがとう。………でも、私の味方はしないで?』
これは日吉にも言うつもりだ。
だって……
「……えっ…なんで?」
『私のせいで、みんなと対立なんてしてほしくない、それに、ジローには楽しくテニスやってほしいから、ね?』
「でも、」
『お願い。』
「……わかったC…」
私は無理やりジローに了承させた。
ジローには絶対に傷ついて欲しくない
私を庇ったりしたら絶対にジローを傷つけてしまうもの
体も、心も
もちろん、日吉にも同じ事を言える
傷つくのは私だけで十分だから…
『そろそろチャイムなるね。…私はもう行くね?』
「じゃあ、一緒に…」
『ダメ、一緒に行ったらジローが目をつけられるよ。』
「……そんなの大丈夫だC〜」
『ダメ、さっき約束したよね?』
「……うん。……彗歌、気をつけてね。」
『…うん、本当にありがとう。』
私は教室へと足を進めた。
やっぱり、彗歌は優しいよ。
そして、あますぎる。
でも、僕には出来ない彗歌の良いところだね。
安心して
あいつらなんていなくても僕が彗歌を守るから。
絶対に。
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