a man with a double character
°
『え…嘘、だよね?…お父さん?』
「………」
『……お母さん!!』
「………ごめんなさい、彗歌。」
突然告げられた離婚。
今日の出来事で傷着いた私の心がまた傷ついた気がした。
痛い、痛いよ…
悲しいより、辛いの方が大きかった。
『なんで?…どうして!?………離婚なんか…するの?』
「…………ごめんな。彗歌、お前は母さんといなさい。」
『お母…さ、んと?…お父、さんは?』
「私はこの家を出て行く。今からな。」
離婚と言われたときから私はずっと俯いていた。
だから、出て行くと言ったときのお父さんの顔を見てみると
とても清々したという顔だった。
反対にお母さんの顔は悲しみに満ちていた。
正反対な二人の顔を見たとき直感した。
お母さんは離婚することに未練を持ち、反対にお父さんは離婚することを望んでいるということに…
離婚話しを持ち掛けたのはお父さんであろう。
今までの真剣で悲しい口調は演技だ。
そう思った。
『……お…父さ、ん?』
「どうした?彗歌。」
何故かお父さんの顔に恐怖を感じた。
もう、大好きだったお父さんの面影なんてなかった。
『………なんでもない。』
逆らってはいけないと思った。
何も言えなかった。
「じゃあ、私はもう行く。あっ、仕送りはするから学費とか生活費は安心してほしい。…二人で頑張るんだぞ。」
そう言ってお父さんは家を出て行いった。
お母さんはその場で泣き崩れた。
私はただ唖然とお父さんが出て行った玄関を見つめていた。
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