6
教室に飛び込んできたのは、怒りを露わにした蒼だった。
気付けば健介クンと私の間に割り込み、健介クンの手をベリッと剥がした。
危険な物でも触るように、そっと肩を抱かれる。
顔を上げれば、不安が揺らぐ瞳と目が合った。
何で来てくれたの?
私のこと避けてたんじゃないの?
何も聞かなくても、その瞳でわかる。
あれだけ不安だったのに、一瞬で吹き飛んでしまう不思議なパワー。
蒼が来てくれたことで、何だか力が湧いてくる気がする。
「こんなの嘘に決まってんだろ?!
行こ。」
皆に怒鳴る蒼の、シャツの裾を引っ張った。
『待って…』
蒼の肩がピクッと動き、不安そうに振り返った。
目を合わせて合図すると、少しだけ頬を上げて頷き返してくれた。
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