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「――…谷口サン、行くよ?」


『えっ…あ。

皆は?』



気付けば、目の前を夏樹クンの手がゆらゆらしている。


周りには私たち2人しかいない。


「もぉ行ったよ?

また妄想の世界入っちゃった?」


ニヤニヤと夏樹クンにからかわれているのはわかるのに、言い返す気にもならない。



それでは夏樹クンに心配かけちゃうだけだってわかっているのに…


頭の中は、蒼のことばかり。

どぉしたって消せない。



「心配しなくても、本当に寝坊しただけだって。」



夏樹クンが気を使ってくれても、スッキリとしない。





初めて、自分から蒼に会いに行ってみようと思った。



会ってくれないのなら、私から会いに行こう…





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