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「ひーかーりーチャン!」
この声に誰よりも早く反応して、声の先を振り返る。
光親衛隊の圭吾クンと慎太郎クン。
毎朝、私たちの電車の時間に合わせてこぉして登校してくる。
そして、後ろに光が乗った慎太郎クンの自転車を、圭吾クンが追いかける。
これが、毎朝の事情。
残された私は、蒼と一緒に歩いて行くんだけれど…
『蒼は?』
見えない姿に、胸がざわめく。
「寝坊だって。
ってか、何で滝沢がいるの?」
折角忘れかけたことを、再び思い出させるKYな圭吾クン。
「2人は内緒の関係なんだってぇー」
またプリプリと怒り始めた光にも、
「何それ?
蒼フられたの?」
真に受けて訳の分からないことを言い出す慎太郎クンにも、
私を心配そうに見ていた夏樹クンにも、
私の意識が向けられることはなかった。
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