4
さり気なく言った言葉に、夏樹クンの動きがほんの一瞬だけ止まった。
見逃してしまいそうなくらい、わずかに。
「物語は結構好きなんだ。
読書はよくするから。」
だけど、返ってきた返事があまりにも普通だったから、私が気にしすぎただけかもしれない。
「にしても、谷口サンよく見てるね。
ストーカー?」
意地悪く笑う夏樹クンに、慌てて否定をする。
『や、や、だって後ろの席だ、か、らぁ!』
「わかってるって。
冗談。
すっごい慌てるんだもん、その顔!」
終いには、人の顔を指差して笑い出すし。
その顔があまりにも楽しそうで、私まで伝染して笑ってしまった。
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