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さり気なく言った言葉に、夏樹クンの動きがほんの一瞬だけ止まった。


見逃してしまいそうなくらい、わずかに。



「物語は結構好きなんだ。

読書はよくするから。」



だけど、返ってきた返事があまりにも普通だったから、私が気にしすぎただけかもしれない。



「にしても、谷口サンよく見てるね。

ストーカー?」


意地悪く笑う夏樹クンに、慌てて否定をする。


『や、や、だって後ろの席だ、か、らぁ!』


「わかってるって。

冗談。


すっごい慌てるんだもん、その顔!」


終いには、人の顔を指差して笑い出すし。



その顔があまりにも楽しそうで、私まで伝染して笑ってしまった。



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