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そっと上げた視線の先には、さっきの黒髪の人。
その綺麗な瞳は、案の定、光に向けられて…
いない!
私の顔をじっと見つめ、王子様みたいな微笑みを向けてくる。
彼の後ろには、あんぐりと開けられた2つの口。
そして、彼をじっと見つめる光。
真面目チャンな私に話しかけるのは、クラスメートか光に興味がある人だけ。
こいつは…
嫌がらせ?
面倒なのは、中学でこりごり。
『谷口。』
軽く睨みつけながら、それだけを伝えた。
「谷口、何チャン?」
それでも怯まずに名前を聞いてくるソイツ。
自分から名乗らないなんて失礼じゃん、と愚痴をこぼすと、
「1−Cの戸塚蒼。
蒼って呼んでね。」
語尾にハートマークを付ける始末。
絶対に呼ばないと啖呵を切ってやろうとした時、
「じゃ、"蜜香"も、5人で行こ?」
立ち上がりかけた私に腕を絡め、光が答えた。
はい??
「ミカチャンね?
決まり!」
とにっこりと笑うソイツ。
「しゃぁ!」
と喜ぶ、赤と白の2人組。
「部活見学終わるまで待ってて?」
と話を進める光。
私の意見は無視かよー!!
心の叫びも虚しく、ソイツ等は帰って行った。
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