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「ごめんな、谷口サンが悪いんじゃないのに…」
夏樹クンは、申し訳なさそうに髪をクシャっとしながら謝ってくる。
夏樹クンこそ、関係ないのに。
『夏樹クンこそ、私のせいでごめんね?
先輩たちに目つけられちゃたじゃん。』
"覚えとけ"って言われてたし…
「違うよ!
巻き込まれたのは…」
「蜜香ッ!!!!」
ッ!!
『蒼……』
勢いよく入って来たのは、汗だくになって息を切らした蒼だった。
「遅ぇよ…」
夏樹クンは私の前に立つと、さっきの先輩たちから庇ってくれたように、視界を遮った。
「無事、だった?」
息絶え絶えに心配してくれる蒼に、胸が痛くなる。
私、夏樹クンにも蒼にも心配かけて…
蒼に謝ろうと立ち上がりかけた時、それよりも早く夏樹クンが動いた。
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