14
「これ、今日貸すから。」
ずり落ちそうになっていたブレザーを掛け直し、夏樹クンは隣に座った。
「平気?」
優しくも心配そうに聞く声に、強ばっていた体の力が少しずつ抜けていった。
『あたっ…こ…った……』
"私、怖がった"
通じたのかわからないけれど、何も言わず、頭をポンポンと叩いてくれる。
夏樹クンが見付けてくれなかったら…
見付けてくれたのが夏樹クンじゃなかったら…
考えるだけで、涙が止まらなくなる。
それでも、私が泣きやむまで夏樹クンは隣で頭を撫でいてくれた。
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