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夏樹クンは私を見ることなく、素早く脱いだブレザーを掛けてくれた。
そして庇うように後ろに隠すと、座っていた娘に向かい合った。
さっきまではぜんぜん気が付かなかったけど、椅子に座ってずっと見ていたらしい。
「一体何がしたいわけ?
文句があるなら、直接本人に言ったらぃぃだろ?」
直接本人って、だから今、私がこんなピンチだったんじゃないの?
「お前、ふざけんなよ?!」
喜一先輩が、顔を歪めたまま立ち上がった。
私の蹴りがかなり効いているみたいだ。
夏樹クンはそれに臆することなく、携帯を差し出した。
「先輩たち、卒業したいでしょ?」
ここからじゃ何も見えないけれど、画面を見ている先輩たちは、顔を真っ青にして立ちすくんでいる。
一体何が写ってるの?
「さっさと、カメラ渡して?」
と、顎で女の子を差す夏樹クン。
何の話をしているのかわからずにそれを目で追うと、その娘の手には小さなカメラが握られている。
…撮られてた?
『ッ!!』
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