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夏樹クンが、椅子を後ろに動かしたのだ。
ッ!
私の机に椅子の背もたれをくっつけると、前を見たまま、出来るだけ口を動かさないように、器用に話し出した。
「一昨日、平気だった?
アイツに、何かされなかった?」
"何か"
キスされそうになったことは、"何か"に含まれるわけ?
『な、な、何も!』
裏返った上に、大きな声になってしまった。
周りの席の子が数人、チラリと振り返ったけれど、幸いにも先生には気付かれていない。
気を付けなくちゃ…
『助けてもらっただけだから。
変な人に絡まれちゃって。』
「は?!」
「何だ?
夏樹、どぉかしたのか?」
クラスの皆にも聞こえてしまうような大きな夏樹クンの声。
皆は振り返り、先生は怪訝な顔をしている。
「いえ…」
.
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