9
ドキドキと胸がうるさい。
これは怖いドキドキだけじゃない。
繋がれた手、髪の間から見える蒼の横顔……
蒼の存在が、このドキドキを生み出している。
「蜜香、こっちは?」
無邪気な笑顔が棚から覗く。
悔しいけど、蒼はセンスがぃぃみたいだ。
見立てが上手い?
私の前に並べられた、数種類のパンプス。
どれも蒼が私の為に持ってきてくれたものだ。
怖いくらい私に似合ってると思う。
「どぉ?
好きなのありそう?」
ソファーに座る私の足元にしゃがみ、下から見上げられる。
ダメだ。
今日の私はおかしい。
どんな仕草でも、蒼を"かっこぃぃ"と感じてしまうのだ。
それはきっと、蒼がピンチの私を救ってくれたから。
それ以外はありえない。
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