8
恐る恐るエレベーターから出る私に対し、蒼は堂々と進んでいく。
『ね、蒼…』
あの人たちいたらどぉするの?
繋がれた手を強く引っ張って引き留めようとしたけれど、蒼はびくともしない。
それどころか、反対に手を引っ張られ、よろけた私の腰をギュッと引き寄せられてしまった。
『ひゃぁ!』
「俺がいるから平気。」
腰に回された手が強くなり、端から見たら抱き合っているように見えるだろう。
エレベーターの前で、他からの視線が恥ずかしい。
近付く蒼の顔を避けるように、顔を背けた。
『わ、わかったからッ!』
"離れないでね?"と付け足して、目だけで蒼の顔を見ると、満足そうに笑っていた。
でも、いつもの女の子に振りまくような笑顔じゃない。
もっと……自然な?
心から笑ってる気がする。
私、この顔は嫌いじゃないな…
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