3
「お兄さん、手離しなよ?」
もぉ終わりだと目を瞑った時、背中が急に軽くなった。
「うわっ!」
―――バキッ、ドスンッ
鈍い音の後、何かがぶつかる音。
何?
「何だよ?!」
私の前で腕を引いていた男が振り向いた瞬間、私の後ろから腕が伸びてきて、男の頬に直撃した。
『きゃっ!!』
男が吹き飛び、それと同時に後ろに思いっ切り腕を引っ張られ、デパートの中に連れ込まれた。
『やッ!!!』
今度は何なの?!
今私を引っ張るのは、さっきの人たちとはタイプの違う男の人。
ジーパンとジャケットを来た、背の高い、同い年くらいの人。
腕を引く力はとても強いけど、私の腕を掴む手は優しい。
デパートの中を無理矢理走らされ、突き当たりにあるエレベーターに乗せられる。
生憎、その中は2人きり。
『離してよっ!』
掴まれた腕を振り払い、最上階のボタンを押す男の背中を睨みつける。
「危なかった。」
聞き覚えのある声が聞こえ、振り向いた男に力強く抱きしめられた。
この匂い…
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