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―――土曜日。
気分転換に街へ出ようと、久し振りにおめかしをした。
可愛い服を着たり、お化粧したり、お洒落が嫌いなわけじゃない。
むしろ好き。
ただ、学校で…皆の前ではあまりしたくないだけ。
出来るだけ目立たないようにしなくちゃいけないから。
街に出れば、知り合いに会うことは滅多にないし、会ったとしてもバレないことが多い。
だから今日はお気に入りの格好。
大きな水玉のついた白のシフォンワンピにジャケットを羽織り、茶色の春ブーツを合わせた。
皆、早くから出かけたらしく、朝起きた時から家には誰もいなかった。
念入りに戸締まりを確認し、玄関に鍵をかける。
財布と電源の入っていない携帯しか入っていない、ブーツと同色の鞄に鍵を放り込み、家を出た。
携帯は、昨日からこのままだ。
蒼から連絡が来るのが怖かったから。
いっそ、着信拒否をしてしまおうかとも考えたが、そこまで勇気はなかった。
それでも、気休め程度にはなる。
最も、連絡が来るのかはわからないが。
駅に着き、定期を通すと、いつもの方向へ行く電車に乗り込んだ。
私がいつも買い物に行く街は、家と学校の間にある。
家から電車で10分くらい。
駅前にデパートや映画館があって、少しだけ栄えている。
そろそろ夏物が出るし、パンプスも欲しいなぁなどと考えていると、すぐに駅に着く。
電車を降りてすぐに駅ビルに入ると、ブラブラとウィンドウショッピングを始めた。
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