5
教室に着くと同時に、チャイムが鳴った。
私の席に座り、私の帰りを待っていたようだった光は、先生と私を交互に睨み、渋々自分の席へ戻っていった。
可愛い顔が台無し。
光のふてくされた顔を見れば、嫌でも笑いが吹き出してくる。
少しだけ気が軽くなった所で、前に座る夏樹クンの肩をバレないようにそっと叩いた。
『さっきはごめんね?
ありがとう。』
小声で言うと、夏樹クンが前を向いたままそっと椅子を退き、背中を後ろに倒して話しかけてきた。
「大丈夫だった?」
さすが蒼クンの親友(?)だね。
"大丈夫なわけない"
そぉ言ってしまいたいけど、こんなんで誰かに迷惑かけれないから。
心とは反対の言葉が勝手に出て行く。
『何が?
大丈夫だよっ!』
そんな私の心境を察したのかもしれないけど、それまで前を向いたまま話していた夏樹クンが、チラッと私を見て言った。
「あいつが何か仕出かしたら、言って。」
有り難いけど、それはないと願いたい。
もぉ蒼とは関わりたくないし。
"何か"もあって欲しくない。
.
◇back*◇next#
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!