16
思いは通じ、駅についても蒼は追ってこなかった。
ほっとするはずなのに少しだけ寂しくて。
何だか矛盾している。
「あの…蜜香チャン?」
『へ?
あ!
すみませんッ』
蒼に気を取られて、先輩の手を握ったままだった。
とっさに一緒に逃げてもらったけど、先輩に来てもらった意味はない。
即座にあの場から立ち去るために、邪魔な先輩を一緒に連れてくのが一番手っ取り早いと思っただけ。
だけど余計にややこしくしてしまった。
私は、急いで握っていた手を離そうとした。
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