15
『先輩、私急いでるんです。
前、どいてもらえませんか?』
敢えて顔を見ないで、下を見たまま言った。
多少失礼だろうがもぉ知ったこっちゃない。
時間がないんだよー!
「蜜香!」
あぁ…
遅かった……
後ろから走ってくる音、私を呼ぶ声。
だめ。
今話したら、確実に泣いてしまう。
『あ〜もぉ!
行きましょう!』
何も考えずに、先輩の腕を掴んで走り出した。
小走りで駅を目指しながら願った。
蒼が追いかけて来ませんように。
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