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「蜜香ぁ〜
会いに来たよ!」
クラスや廊下に人がいるのなんか関係なしに、大声で叫ぶ蒼。
ただでさえ目立つやつが、地味で目立たない私に話しかけてるなんて、皆の笑い物になるだけなのに…
『"戸塚クン"、何か?』
いかにも他人のふりをして、皆の注目を反らそうとするけど、蒼がそれに気付くわけがない。
「"何か"って何だよぉ?
しかも、"戸塚クン"って何?」
頬を膨らませて駄々っ子のように言う蒼に頭が痛くなる。
「蒼、困らすなよ。」
不意に頭上から聞こえてきた声に、蒼が反応した。
「蜜香は俺んだからね?
夏樹とるなよ?」
"はいはい"と蒼の頭を軽く小突く夏樹クン。
『2人って友達だったの?』
この際、話の内容はどぉでもぃぃ。
「同中。
親友みたいな?」
笑いながら夏樹クンの肩にかけた手は、軽く振り払われる。
「腐れ縁。」
どぉやら、夏樹クンは蒼の対応になれてるみたいだ。
蒼を適当にあしらい、荷物を持ったまま教室から出ていく。
『あ!
夏樹クン、それ、プリント!』
日直の仕事が残っていたらしい。
夏樹クンは授業の終わりに提出した宿題のプリントを、準備室に持って行くところだった。
「俺1人で持てるからぃぃよ。」
こちらを振り向かずにスタスタと歩いていってしまう。
『や、でも…
ちょ、え?
戸塚クン?』
夏樹クンを追いかけようとした私の腕が蒼によって捕まれ、反対の方向に引きずられている。
『ちょっと!
離してよ?
どこ行くの?』
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