1
「谷口サン!
ちょっと…」
コソコソと昼ご飯を空き教室で食べ終わった後、トイレを済まして出てきた所で、山岡先生に"おいで"と手招きされる。
昼休みは残り30分、隠れて過ごすには、先生とのお喋りは絶好の時間潰しになる。
そぉ思い、理由もわからず先生の後を追い掛けた。
「昨日のお礼。
皆には内緒だよ?」
何かと思えば…
準備室の小さな冷蔵庫から出されたのは、ベイクドチーズケーキのタルト。
『もしかして、先生の手作りですか?』
「知り合いに教えてもらったの。
口に合うとぃぃんだけど…」
『嘘っ?!
嬉しい!
いただきます。』
「タルトも一から作ったんだけど、たいして難しくないのよ。
見た目は悪いんだけど。」
"恥ずかしい"とか言っているけれど、お菓子作りなんて生まれて一度もしたことのない私の方が恥ずかしい。
.
◇next#
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!