20
――カチャ
「あ、着れた?」
「お疲れ様で〜す。」
『着れた、けど…
これ、どぉして?』
試着室に置かれたカゴの中に水色のワンピースを見つけたのは、恥ずかしい自分の姿を見ていられなくなって、下を向いた時。
瞬時に、夏樹クンがさっき選んだものだとわかった。
明るい色のワンピースって着たことなくて、似合わないだろうと疑ってかかったのに、これは誤算。
ワンピース自体はシンプルで大人っぽいけど、着てみると年相応の可愛さが出てくる。
あの短時間でそれを見抜いた夏樹クンって一体?!
『ね、これって…』
「足のサイズは?
23くらい?」
『え…あっ、うん。
ね、このワンピ…』
「はい、履いてみて?」
と、次は花のコサージュが付いた、ベージュのウエッジソールのサンダル。
聞きたいことは一つも答えてもらっていないけど、そのサンダルがあまりにも可愛くて、質問よりも試着を優先させた。
『んっ。』
少しだけ自棄になってきて、"どぉ?"と夏樹クンにポーズをとってみた。
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