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もしかしたら、出掛ける約束があったのかもしれない。

電話すると直ぐに迎えに来てくれた。


初めて見る私服姿に、元気だったら見惚れていたと思う。



だけど、今の私はその姿を見た瞬間、安心して止まりかけていた涙の堤防を壊してしまった。



『うっ…ひっく……』


涙か雨かわからない液体で全身濡れた私を、構わずギュッと抱きしめてくれる。

その優しさが、壊れそうな胸に染みる。



「よしよし…


何かあったのか?」


『あっ、が…な、つき…く……』



人前だとかも関係なく、私は泣きじゃくった。


その間も、背中をポンポンんと優しく叩いてくれて、余計に涙が止まらなくなった。



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