6
『あれ、夏樹クン?
山岡先生に何か用?』
職員会議のために準備室を追い出された直後、直ぐ前の廊下でばったりと遭遇。
「あ……
いや、別に。
谷口サンは帰らないの?
もぉ、教室誰もいないよ。」
それだけ言うと、夏樹クンは来た道を戻っていった。
ん?
いまいち夏樹クンがわからない。
何でこんな所にいたんだろ?
ま、ぃぃや。
帰ろう。
随分ここに居座ったし、もぉ誰もいないみたいだから。
遅くなっちゃったけど、蒼、まだいるかな?
2人で帰るなんて日常茶飯事だったのに、昨日のことがあって、恥ずかしくて、何となく蒼を避けていた。
メールを送るのでさえ緊張する始末。
一緒に帰るのが当たり前だと思っていたけど、連絡もしないでこんなに長時間待たせて、怒っていたらどうしよう?
もぉ、帰ってしまっていたら?
どうしよぉもなく不安に襲われる。
"好き"って意識した瞬間、世界は好きな人中心で回るもんなんだね。
.
◇back*◇next#
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!